火災保険は火災や自然災害による損傷以外にも、偶然かつ突発的に発生した家屋や家財の被害も補償します。自宅のフローリングにうっかり重い物を落とし傷つけてしまったときにも、火災保険の給付金を受け取れるのです。
しかし、それには条件があり、破損・汚損が補償される火災保険に加入していることと、損傷が機能を阻害するものであることを満たしていなければいけません。
この記事では、フローリングの張替え費用を、火災保険が補償する損傷と補償しない損傷について解説します。
フローリングの張替えは火災保険で補償される
火災保険には偶然かつ突発的に発生した家屋や家財の被害を補償する、破損・汚損という特約があります。この特約では傷ついた床のフローリングを張り替える際に、火災保険の給付金が受けられる場合があります。
火災保険の給付金の対象になる床の損傷は、以下のとおりです。
- 床に傷がある
- 床に穴が空いている
- 床に焦げがある
床に傷がある
床に物を落としたり家具などを引きずったりしてフローリングにできた傷は、予測が不可能な事故による損傷とみなされ、火災保険の破損・汚損の対象です。単に見た目が悪いだけの傷は対象外ですが、損傷によりケガにつながる危険性がある場合は補償されます。
床に穴が空いている
床に重たい物を落としてしまい、フローリングがへこんで穴が空いた場合は、火災保険の申請が可能です。空いた穴のせいで足を引っかけて、ころんでしまう危険性のある損傷は、給付対象として認められます。
床に焦げがある
アイロンを床においてしまい跡が残った場合やストーブが故障して床が焦げた場合は、火災保険の破損・汚損の補償範囲です。これらの被害は、偶然かつ突発的に発生した被害と判断されます。
フローリングの張替えが火災保険の補償対象にならないケース
自宅の床が損傷しても、火災保険の破損・汚損の対象にならない場合があります。
床の損傷が、破損・汚損で補償にならないケースは、以下のとおりです。
- 破損・汚損の特約がついていない場合
- 傷が経年劣化による場合
- 故意に傷つけた場合
- 被害額が免責額を超えない場合
破損・汚損の特約がついていない場合
加入している火災保険が、床の損傷を補償する破損・汚損の特約を付帯していない場合は、給付金の申請ができません。
破損・汚損の特約は、以下のように分類されます。
- 家屋のみ補償するもの
- 家財のみ補償するもの
- 家屋と家財の両方を補償するもの
床の損傷で補償を受けるには、家屋が補償される特約が付帯している保険に加入していなくてはいけません。偶然かつ突発的な事故による床などの損傷が、補償の対象になっているかについて、火災保険の保険証券で確認することをおすすめします。
傷が経年劣化による場合
火災保険は火災や自然災害、偶然かつ突発的に発生した事故などの、予測が不可能な被害を補償します。経年劣化は全ての消耗品に生じるため、給付の対象ではありません。
床の場合では、以下の損傷は経年劣化が原因であるため火災保険の破損・汚損の対象外です。
- 長年の使用により床がすり減った
- 劣化により床がきしむようになったリスト
このような経年劣化による損傷は、火災保険の給付金を受けられません。
被害額が免責額を超えない場合
火災保険には免責額があり、損害額がそれを超えない場合は、損保会社は給付金を支払う義務がありません。
免責タイプには、あらかじめ決められた免責額を超えた分が給付金として支払われるエクセス型と、損害額が20万円以上の場合に全額支払われるフランチャイズ型の2種類があります。
エクセス型 | フランチャイズ型 |
---|---|
あらかじめ決められた金額を超えた分が給付金として支払われる | 損害額が20万円以上の場合、給付金が全額支払われる |
故意に傷つけた場合
故意に床を傷つけた場合は、火災保険の給付は受けられません。給付金が目的で損傷を偽装する行為は、詐欺にあたります。
火災保険の制度を悪用して詐欺を持ちかける悪徳業者も存在しているので注意が必要です。そのような誘いを受けたときは、毅然とした態度で断ってください。
火災保険でフローリング張替え費用を申請する手順は?
火災保険の破損・汚損の申請手続きには手順があります。申請には複数の書類を不備なく作成し、提出しなければいけません。
火災保険の破損・汚損の申請手順
火災保険で床の損傷の修繕費用を申請する際は、以下の手順を踏んでください。
1.損保会社へ連絡 | 損保会社の事故受付窓口へ連絡 |
2.見積もりを依頼 | 修理会社に床の修繕費用の見積りを依頼 |
3.申請書の作成 | 複数の書類を作成 |
4.損保会社に申請書類を送付 | 書類は不備があると受理してもらえない場合がある |
5.給付金の入金 | 書類の審査が行われ承認されると給付金が振り込まれる |
1.損保会社へ連絡
床が偶然かつ突発的に発生した事故が原因で破損した場合は、損保会社の事故受付窓口に電話します。事故受付窓口の担当者に、床の破損で火災保険の給付金を受けたい旨を伝えてください。
その際、損保会社からは、以下の内容を質問されます。
- 火災保険の証券番号
- 事故が発生した日時
- 破損した場所と損傷の程度
損保会社の事故受付窓口に電話する前に、保険証券の準備と被害状況などを簡単にまとめておくとやり取りがスムーズにすすみます。
2.見積りを依頼
床の損傷の修繕費用がいくらかかるのかの見積りを、修理会社に依頼します。見積りはフローリングを張り替える際の、部材や部品の価格、修理に必要な日数や作業員の数などの詳細を記入してもらいましょう。より詳しい見積りは、信ぴょう性が高く、損保会社の審査に有利にはたらきます。
3.申請書の作成
火災保険の申請には、複数の書類作成が必要です。
破損・汚損の申請に必要な書類には、以下のものがあります。
- 保険金請求書
- 修理見積書
- 破損箇所の写真
- 事故内容報告書
書類に不備があると損保会社は受理してくれないため、誤りのないように記入しなければいけません。
4.損保会社に申請書類を送付
申請書類がそろったら、損保会社に提出します。書類に不備がなければ受理され、損保会社は審査を開始します。申請から入金までの期間は、1カ月程度です。
修繕が遅れると床の損傷が拡大する恐れがあるため、被害が発生したらなるべく早く給付金の申請書類を作成し、損保会社に提出してください。
5.給付金の入金
損保会社の審査を通過すると、給付金が入金されます。給付金の入金を確認したのち、床のフローリングの張替えを依頼しましょう。
注意してほしいのは、給付金の入金前に修理会社とフローリングの張替えの契約を結ばないことです。給付金は入金されるまで、いくらもらえるのかわかりません。請求額を下回るケースもあるため、給付金の金額が確定してから床の修繕を依頼してください。
火災保険の破損・汚損の申請に必要な書類
火災保険の破損・汚損の申請に必要な書類には、以下のものがあります。
1.保険金請求書 | 損保会社が用意する専用のフォーマットに記入 |
---|---|
2.事故内容報告書 | 保険会社が用意する専用のフォーマットに記入 |
3.修理見積書 | 修理会社に見積もりを依頼 |
4.破損状況の写真 | 建物が特定できる写真、建物の全体の写真、被害箇所が同時に写っている写真 |
保険金請求書
保険金請求書は損保会社が指定する専用の用紙に契約者本人が記入します。
保険金請求書には以下の内容の記入が求められます。
- 証券番号
- 契約者の氏名
- 被保険者の氏名
- 給付金の振込先
- 他の保険会社との契約情報
契約者と被保険者が違う場合は、被保険者の氏名も記入します。火災保険の給付金は、複数の損保会社から重複して受け取ることが禁止されています。他社の火災保険にも加入している場合は、その内容の記載が必要です。
事故内容報告書
事故内容報告書は、床の損傷の原因と被害の因果関係について詳しく記載しなければいけません。
事故内容報告書には、以下の項目を記入します。
- 事故発生の日時
- 被害箇所
- 事故原因
- 損傷の程度
被害原因と損傷の状況がわかりやすく記述されていると、損保会社の審査がスムーズに運びます。
修理見積書
修理見積書は、床のフローリングの張替えを行う修理会社に依頼します。見積書には修繕費用の合計を記入するだけでなく、部品や材料の数量や単価も記載しなければいけません。修繕に必要な期間や人件費も含めて記載すると、見積書の信頼性が向上します。
破損状況の写真
破損状況のわかる写真が複数必要です。建物が特定できる写真、建物の全体の写真、被害箇所が同時に写っている写真など、
写真は見積書を依頼する修理会社に撮影してもらいましょう。
火災保険が補償するフローリングの張替え以外の被害
偶然かつ突発的に発生した被害を補償する火災保険の破損・汚損は、フローリング以外でも建物や家財の被害を幅広くカバーしています。
火災保険の破損・汚損が補償する建物の範囲
火災保険の破損・汚損で補償される建物とは家屋とそれに付随するカーポートや物置、庭木などが含まれます。
偶然かつ突発的な事故には、ボールや鳥などの飛来物が家に衝突して窓ガラスなどを破損したり、運転操作を誤った自動車が家屋に突っ込んだりなどがあります。これらの被害が敷地内の家屋や付随する設備に及んだときは、補償の対象です。
火災保険の破損・汚損が補償する建物の部位
火災保険の破損・汚損で補償の対象になる建物の部位は、以下のとおりです。
- 床
- 屋根
- 壁
- ドア
- 窓
- 雨樋
- 門
- 塀
- カーポート
- 物置
- 庭木
- ガス設備
- 電気設備
- 通信設備
- 冷暖房設備
- 流し台
- 浴槽
- トイレ
これらが偶然かつ突発的な事故により破損して破損・汚損の給付を受けるためには、家屋が補償される特約に加入していることが条件です。
火災保険の破損・汚損が補償する家財の範囲
火災保険の破損・汚損で補償される家財とは、敷地内にある家族が所有するものです。所持品を外出先で破損したり、他人から借りた物を敷地内で壊したりした場合は、補償の対象外です。
また、価格が30万円以上の宝石などの貴金属や美術品も火災保険の破損・汚損では給付を受けられません。さらに、スマホやコンタクトレンズ、補聴器などの破損しやすいものも補償の範囲外です。
火災保険の破損・汚損が補償する家財の種類
火災保険の破損・汚損の補償の対象になる家財には、以下のものがあります。
- 家具
- 電化製品(テレビ・パソコン・デジカメ・電子レンジ・冷蔵庫・など)
- 食器
- 衣類
- カーテン
家財が火災保険の破損・汚損で給付金を受けるためには、家財の補償が含まれる特約に加入していなければいけません。
火災保険申請サポートの力を借りてフローリング張替えの給付金を請求する
火災保険の破損・汚損の申請の手続きは、煩雑で手間のかかる作業です。申請書類には事故原因と被害の因果関係を明示する必要があり、不備なく書類を作成するのは難題です。申請に手間取っていると、破損箇所の被害が拡大する恐れもあります。
そこで、利用を検討してほしいのが、火災保険申請サポート業者です。火災保険申請サポート業者は、修理費用の見積りや破損箇所の写真撮影、書類作成のアドバイスなど、給付金の請求の手助けをしてくれます。
注意しなければいけないのは、火災保険の申請を代行するという業者です。火災保険の申請は、契約者本人が行わなくてはいけません。申請を全て代行する行為は、法律で禁止されています。
しかし、火災保険の申請についての助言は認められており、火災保険申請サポート業者は法律を順守して、適切に手続きを後押しします。
火災保険申請サポート | 火災保険申請代行 |
---|---|
適法 | 違法 |
被害箇所の調査見積り | 申請手続きの助言
フローリングの張替え費用を損保会社に請求する際は、火災保険申請サポート業者の力を借りることを検討してください。
フローリングの張替えは火災保険給付金で賄える
床に重たい物を落として穴を空けてしまったり、アイロンで焦がしてしまったりしてフローリングの張替えが必要になった場合は、火災保険の給付金の請求が可能です。火災保険は火災や自然災害だけでなく、偶然かつ突発的に発生した家の破損も補償してくれます。
しかし、床の修理費用の申請は手順が複雑で、提出に必要な書類が多く、故意で破損したものでないことを証明しなければならないなど手間がかかります。
そこで、利用していただきたいのが火災保険申請サポートです。火災保険申請サポートは損害保険に詳しいプロフェッショナルが、修理費用の見積りから書類作成の手助けまで一貫して行います。
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