火災保険の申請デメリットと注意点!給付金が下りない場合の理由は?

 「火災保険の給付金を申請したいけど今後の保険料が上がったらいやだな…」
「1回保険を使ってしまうと、次から使えなくなるのでは?」

給付金を請求するか迷った際に、こういったデメリットが気になり、給付金請求を控える人が少なくありません。自動車保険の場合、保険を使うと翌年から等級が上がり保険料も上がります。そのため、火災保険についても同じようなイメージを持つか方が多いのでしょう。

果たして、火災保険にも自動車保険と同じようなデメリットは存在するのでしょうか?

この記事では、火災保険の利用にはデメリットがあるのかや、火災保険申請の注意点、給付金がおりない場合の対応方法などについて解説します。給付金を請求すべきかどうかで悩んでいる方は、ぜひ最後まで目を通してみてください。

目次

火災保険申請にデメリットはない

火災保険の利用には特にデメリットはないので、遠慮せずに給付金を申請して大丈夫です。ここでは、なぜデメリットがないのかについて説明します。

火災保険は何回でも申請できる

 火災保険は、契約期間中に何度でも申請できます。災害で複数回家屋が損傷した場合でも、申請すれば補償を受けられます。台風や雪が多い地域に住んでいる場合、家屋が毎年のように損傷する可能性があります。仮に毎年同じ箇所が損傷した場合でも、給付金を申請できます。

何度も申請すると「使いすぎではないか」と思う方もいますが、決してそんなことはなく損傷が発生する度に請求申請できるのが火災保険です。

申請回数が増えても保険料は変わらない

何度も火災保険を使うと、保険料が高くなりそうなイメージを持つ方も多いです。しかし、実際には繰り返し給付金を受け取っても、保険料が高くなることはありません。

火災保険の保険料は契約時に決定された金額が基準となり、その後の申請回数によって保険料が増加することはないからです。何度でも給付金を請求でき、その都度、該当する金額が支払われます。

もちろん、申請回数が多いからといって受け取れる給付金の額が減らされることもなく、毎回所定の給付金を受け取れるため、申請しない方がデメリットと言えるでしょう。

給付金の使い道は限定されず自由である

火災保険の給付金は、基本的に損傷箇所の修繕に使わなければならないというルールはなく、被害者自身の好きなように使えます。家屋の修復に使っても良いですし、生活費に使う、欲しいものを買うなど、利用用途は自由です。受け取った給付金をローンなどの返済や貯蓄に回すなど、堅実に使う方も多いようです。

しかし、損傷箇所を完全に放置すると、時間の経過とともに被害状況が悪化する恐れがあるため、必要最低限の修繕は行っておくべきでしょう。

解約した保険でも申請可能

 火災保険は保険契約を解約した後であっても、解約前に発生した被害に対する給付金であれば請求可能です。

この制度を知らずに申請を諦めてしまう方も少なくありませんが、実は解約後でも申請は可能なのです。ただし、解約後に発生した被害に対しては申請できないので、この点には気を付けましょう。

火災保険を申請しないことがデメリット

火災保険を申請しないことがデメリット

火災保険の申請をして給付金を受け取ることには、特にデメリットは存在しません。むしろ、火災保険の申請をせず本来は受け取れる給付金を受け取らないほうが、よほどデメリットだと言えます。

ここからは、なぜ申請しないことがデメリットなのかを説明します。

給付金申請をしないと保険料を払っているだけになる

火災保険は、火災や自然災害による家屋などの損傷に備えて加入するものです。災害発生時に保険を使わなければ、支払っている保険料が無駄な出費となってしまいます。また、給付金を受け取らないと、損傷箇所の復旧を自己負担する必要があり、出費が増える可能性もあります。

いざというときのために大切なお金を支払っているのに、災害発生時に給付金を申請しなくては全く意味がありません。つまり、火災保険に加入しているにもかかわらず、給付金を申請しないことがデメリットとなるのです。

補償対象であることに気が付かない人が非常に多い

そもそも多くの人が、自分が火災保険を受け取れる対象であることに気が付いていません。これは、具体的にどのような損害が補償対象となるのか、また、その申請手続きがどのように行われるのかを十分に理解していないためです

火災保険の補償対象になるのは、火災だけではありません。台風、大雨、雪、雹などの自然災害や、落書き、盗難などの突発的な事故と、様々な被害が補償対象となる場合があります。ただ保険料を支払っているだけの状態にならないようにするためには、まずはどのような状態が火災保険の補償対象で、給付金が申請できるのかを知っておきましょう。

火災保険申請の注意点

火災保険申請の注意点

火災保険の申請にはデメリットはないと説明しましたが、申請する際の注意点が4つあるため覚えておきましょう。

  • 給付金額には制限がある
  • 修理費用が給付金額を超える場合がある
  • 火災保険の補償範囲では被害箇所すべてがカバーされない場合がある
  • 全損・全焼した場合、火災保険の契約が終了となる

それぞれの注意点について解説していきます。

給付金額には制限がある

火災保険の給付金額は契約内容によって異なるので、契約時に設定された金額までしか支払われません。火災保険には補償の限度額が定められており、給付金額はその金額の範囲内に制限されています。

たとえば補償限度額が、建物が3,000万円、家財が1,000万円に定められている場合、これらを超える金額は給付されません。火災保険の給付金にはこういった制限があり、必要な金額が全額給付されるとは限りません。ご注意ください。

修理費用が給付金額を超える場合がある

火災保険の給付金額には制限が存在します。保険契約の条件や規定に基づいて算定され、被害の程度や内容によっても異なります。保険契約時に定められた保険金額が上限となり、火災などの災害によって損失した金額がそれを超過した場合でも、超過分は給付金としてはカバーされません。

そのため、火災や災害によって損傷が発生した場合に、修理に必要な給付金を受け取れず、修理費の一部を自己負担する必要があるケースも出てくるでしょう。

いざというときに慌てないよう、加入中の保険の補償範囲や条件などの契約内容を事前に知っておくことがおすすめです。

火災保険の補償範囲では被害箇所すべてがカバーされるとは限らない

火災保険の契約内容によっては、災害などによって損傷を受けた箇所がカバーされない場合があります。たとえば、地震や津波などの災害による被害は、火災保険では補償されないケースが多いです。

これらの災害による被害の補償を受けるためには、以下のいずれかの対策が必要です。

  • 地震保険や津波保険などの別途の保険に加入する
  • 火災保険の補償内容をよく確認し、必要に応じて特約を付帯する

また、家屋の一部であっても、地下室や倉庫などの場合、使用目的によっては火災保険の補償対象にならない場合があります。

このように、火災や自然災害による被害であっても、火災保険給付金の申請対象とならない場合があるので注意しましょう。

全損・全焼した場合、火災保険の契約が終了となる

一般的に、火災保険の契約において、被保険物が全損または全焼した場合、契約が終了してしまいます。火災保険契約は特定の被保険物を対象としており、その物件が失われると契約の対象がなくなるからです。

たとえば、10年契約の火災保険に加入し5年目で全焼したとすると、その時点で保険契約が終了します。
その後同じ場所に家を建てなおした場合、新しい住居は補償の対象外のため、火災などの自然災害で損害が発生しても給付金を申請できません。この場合、補償を受けるには火災保険に再度新規加入する必要があり、新規加入しなおすことで初めて補償対象となります。

また、火災保険契約時に設定した保険金の8割以上の金額を1回で受け取った場合も、保険契約は終了します。8割以上の損傷は、補償対象となる建物が全損したと扱われてしまうため、注意が必要です。なお、1回で8割の金額に達しない限りは、契約は終了しないため何度でも火災保険の申請を行えます。

建物が全焼した場合や、1度に8割以上の給付金を受け取った場合は保険契約が終了になるので、火災保険の契約中に万が一家が全焼した場合は、再契約が必要になると覚えておきましょう。

給付金がおりない場合に考えられる原因

給付金がおりない場合に考えられる原因

給付金がおりない場合には以下の5つの理由が考えられます。

  • 経年劣化が原因と判断された
  • 故意に発生させた被害と判断された
  • 被害発生から3年以上経っている
  • 火災保険の補償対象ではない
  • 修理費が免責金額を下回っている

それぞれについて解説します。

経年劣化が原因と判断された

経年劣化が原因と判断された場合、給付金の申請が却下され給付金が下りない可能性があります。とくに家屋が古く全体的に汚れや傷が目立つ場合、屋根や外壁の損傷が経年劣化によるものと判断される恐れがあるでしょう。

経年劣化ではなく災害による損害であることを示すには、証拠や記録の提出によって災害が原因である根拠を示すのが重要となります。災害が発生した瞬間やそれによる被害状況を、詳細が分かるように記録し提出できるようにしましょう。

また、故意に被害を拡大させたと疑われないよう、損傷を受けた後はできるだけ早く給付金の申請をするのも大切です。

故意に発生させた被害と判断された

火災保険の給付金は、予測不可能な事故や災害による被害を補償するためのものです。そのため、故意に被害を発生させたと判断されてしまうと給付金が下りなくなってしまいます。

世の中にはわざと家屋を破壊し、災害による被害と偽って給付金を申請する人や業者が存在します。こういった行為を働いたと思われてしまうと、給付金の対象外と判断され申請の却下に加え、火災保険の契約を解除される恐れもあります。
故意による損傷と疑われた場合、保険会社に連絡し状況を説明したうえで、故意に損傷させたわけではない旨を説明する必要があります。

もしも、保険会社の担当者と話しても解決が難しいときは、以下のような対策により第三者機関に相談し解決するのがおすすめです。

保険金支払いに関する不服審査申出制度※1を利用する

保険会社には審査結果に対して不服を申し立てる制度が存在します。不服申し立てを行うことで、社外弁護士によって構成される機関によって、より公正な再審査が行われます。

そんぽADRセンター※2に紛争解決手続きを依頼する

そんぽADRセンターとは、損害保険に関する苦情や紛争の解決を支援する機関です。保険会社からの回答に納得できないときに相談すると、和解案や裁判開催などをサポートしてくれます。

これらの対応によって、故意による災害ではないと証明できる可能性があります。

故意に発生した損害に対し給付金を請求する行為は、詐欺行為に該当し、刑事訴訟に発展する可能性があります。疑いをかけられてしまった場合は適切な対応によって、疑惑を晴らすとよいでしょう。


※1 参照 https://www.aioinissaydowa.co.jp/corporate/check/arbitration.html
※2 参照 https://www.sonpo.or.jp/about/efforts/adr/index.html

被害発生から3年以上経っている

原則として、被害発生から3年以上経過している場合、給付金の支払いを受けられません。火災保険では一般的に被害発生から3年以内の被害を補償することが、保険法95条第1項により定められているからです。

仮に申請を受け付けてもらえたとしても、被害発生の詳細な状況説明や、遅れた理由の説明などの対応が必要になる可能性が高いでしょう。その結果、災害と損傷の因果関係を証明できず給付金が支払われない可能性がかなり高いです。

そのため、災害や突発的な事故による損傷について給付金を請求する場合は、申請手続きや期限をしっかりと理解し、適切な対応を行うことが求められます。

火災保険の補償対象ではない

火災保険は火災や自然災害による損害を補償する保険です。しかし、すべての損害が補償されるわけではありません。

保険者が補償を拒否できる事由が発生した場合火災による煙害で近隣住民が健康被害を受けた場合
・故意に火災や自然災害を引き起こした場合
・保険金を不正に得るために虚偽申告をした場合
・補償対象となる被害の範囲外に発生した損害
・火災による煙害で近隣の住民が健康被害を受けた場合
・消火に使用した消火器具の費用

これらの例からもわかるように、火災保険の補償には限りがあります。すべての損害が補償されるわけではないことを理解しておきましょう。

修理費が免責金額を下回っている

火災保険の給付金が予想より少ない場合、修理費が免責金額を下回っている可能性があります。火災保険には一定の免責金額が設定されており、それ以下の請求には対応しません。

例えば免責金額を3万円に設定しており、火災による損害で修理費が2万円だった場合、給付金は支払われません。

給付金が予想より少ない場合は、自身の保険契約内容を再確認し修理費と免責金額を照らし合わせてみましょう。もし免責金額が高すぎると感じた場合には、保険会社に相談し免責の見直しを検討することもできます。

火災保険申請の手順

火災保険申請の手順

いざ火災や災害による損傷が発生し、火災保険の給付金を申請が必要になった際に、申請手順が分からないと慌ててしまう可能性が高くなります。そこでここからは、火災保険の申請手順を大まかに紹介します。

 火災保険申請

火災保険の申請手順は以下のとおりです。

1.保険会社に被害を連絡する

被害が発生したら、速やかに保険会社に被害を通報しましょう。事故や損害が発生した際には、迅速な対応が重要です。

2.必要書類を準備する

保険請求には特定の書類が必要です。事前に契約書や被害証明書、必要な情報を整理しておきましょう。不備があると、給付金入金が遅れる原因となりますので、必要書類を確認しましょう。

3.保険会社に書類を提出する

提出された書類は保険会社によって審査されます。審査の過程で追加の情報が必要となることもありますが、協力して必要な情報を提供しましょう。

4.保険会社による審査

提出された書類は保険会社によって審査されます。審査の過程で追加の情報が必要となることもありますが、協力して必要な情報を提供しましょう。

5.給付金が入金される

保険会社の審査が完了し、請求が認められれば給付金が入金されます。入金までの期間はケースバイケースですが、1ヶ月程度を目安として認識しておきましょう。正確な情報を提供することで、スムーズな手続きが期待できます。

このような順序で申請を行います。詳しくは以下の記事で解説していますので、さらに詳しい手順や書類等を知りたい場合はぜひご覧ください。

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火災保険の申請についてよくある質問

火災保険の申請についてよくある質問

ここでは、火災保険の申請についてよくある質問やその回答をまとめています。

経年劣化での損傷の場合でも火災保険申請は可能?

一般的に経年劣化での損傷の場合は、火災保険申請はできません。火災保険では自然災害や突発的な事故による損傷が、給付金の対象となっているからです。

火災保険の契約内容によっては、経年劣化による損傷を補償するケースもありますが、対象外の場合のほうが多いでしょう。

過去に給付金申請した箇所の損傷を再度申請できる?

保険会社や契約内容によりますが、多くの場合再度の申請が可能です。ただし、以下の条件を満たす必要があります。

・前回の申請から3年以上経過していること
・再度の損傷が別の事故や災害によるものであること
・前回の給付金支給時に、損傷箇所を修理していること

詳しくは保険契約書や規約を確認すると、再申請の条件を確認できます。

火災保険申請は自分でできる?

火災保険申請は専門的な知識が必要ではありますが、自分自身で申請を行えます。自分で行う場合は、具体的な手続きや必要な書類は保険会社によって異なるため、最初に保険会社への確認が必要です。

また、申請時には火災の原因や状況を詳細に記載する必要があるので、これらの情報が不足していると、給付金が下りない可能性もあります。そのため、自分で申請する場合は家屋などが損傷した際の状況を正確に記録し、保険会社の担当者に正確な状況を伝えなければなりません。

さらに、給付金の申請が却下され、再申請する場合は、自分で担当者と話し合い被害状況を説明する必要があります。自分で給付金を請求するのは可能ですが、このような様々な手順をこなしていく必要があり、専門知識がないと火災保険申請することは難しいのが事実です。

このような手間をかけずに確実に給付金を受け取りたい場合は、火災保険申請の専門家に依頼することも一つの選択肢です。

火災保険で儲けることは可能?

 火災保険の給付金申請により現金が手に入り、結果的に儲かる場合があるのは事実です。

しかし、火災保険を活用して利益を出す目的で、故意に家屋を破壊したり火災を引き起こしたりするのは違法行為なので絶対にやってはいけません。これらの行為は詐欺罪に該当し、刑事責任を追及される可能性があります。

ちなみに、故意に家屋を破壊し給付金を請求することを積極的にすすめたり、自ら行ったりする悪徳業者も存在するのでかかわらないようにするのが重要です。

まとめ

火災保険の申請にデメリットはない!

火災保険の給付金請求には特にデメリットはありません。給付金請求後に保険金が上がることはなく、被害に遭うたびに何度でも給付金を請求することが可能です。

これまでに火災や台風、積雪などにより家がダメージを受けたにもかかわらず、給付金を請求していないのであれば、本来は受け取れるお金をもらい損ねている可能性が高いでしょう。損害を受けてから3年以内なら給付金申請が可能なので、諦めずに申請してみるのがおすすめです。

もしも、火災保険申請を自分で行うのが不安であれば、専門家である火災保険申請サポートがおすすめです。専門家が損傷箇所を調査し、適切な診断を行うので、受け取れる給付金を最大限にできます。書類作成もサポートしてくれるので、知識や経験がなくてもスムーズに申請できます。見落としや間違いを防ぎ、確実に給付金を受け取るためには、プロの力を借りると良いでしょう。

「修復ナビ」ではご相談から火災保険の申請サポートまですべて無料で対応しています。また弁護士監修で、現地調査も一級建築士などのプロが行うため安心してご利用できます。気になることがございましたら、まずはお気軽にメールやLINEでご相談ください。すべて無料で対応させていただきます。

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