大雪や雪崩の雪害は火災保険で補償される?雪災補償がカバーする雪の被害を解説

火災保険は火災による被害だけでなく、豪雪や雪崩などの雪害も補償します。日本の積雪寒冷地域は国土面積の60%に及ぶため、多くの方が雪害で家屋や家財の破損を被る可能性があります。

積雪は屋根を押し潰したり、カーポートを破損させたりなど、深刻な被害をもたらす恐れがあるのです。しかし、雪害が火災保険の補償対象であることを知らない人もいます。

そこでこの記事では、雪害に遭い家屋が破損した場合、どのような被害が火災保険で補償されるのかを解説し、給付金を受けるための申請手続きについてお伝えします。

目次

雪害は都心も含め広範囲で発生する

雪害は都心も含め広範囲で発生する

日本は世界有数の雪国です。積雪寒冷地域は国土の60%を占めており、雪害は広範囲で発生しています

なお、積雪寒冷地域とは「積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法」で指定される地域です。この法律で規定される寒冷地域とは、1月の平均気温の累年平均が0℃以下、積雪地域は2月の積雪の深さの最大値の累年平均が50cm以上の地域を指しています。

このように、気温が低く積雪も多い日本は、雪国以外でも雪害が発生しています。2014年2月に発生した関東地方の豪雪では、東京、神奈川、埼玉でも雪による被害が発生しました。この豪雪で都内でも、家屋の半壊や一部損壊が起こっています。

2014年2月の関東地方の豪雪による被害状況は、以下の通りです。

全壊半壊一部破損
東京176
神奈川21
埼玉119

参照:内閣府 平成26年2月14日から16日の大雪等の被害状況について

雪害は大量の積雪がある雪国だけで起こるものではありません。

雪害は火災保険で補償される

雪害は火災保険で補償される

火災保険は、火災以外の自然災害による被害も補償します。雪害も火災保険の給付金の対象です。

火災保険が補償する被害原因には、以下のものがあります。

  • 雪災・風災・雹(ひょう)災
  • 落雷
  • 水災

雪災・風災・雹災は、火災保険の基本補償に含まれていることが多いです。そのため、雪による被害で、家屋や家財が損傷を受けたときは、火災保険の給付金を受けられます

また、雪解けによる融雪洪水の発生で被害にあった場合は、雪災ではなく水災補償が適用されます。

雪災補償が受けられる被害とは?

火災保険で雪災補償が受けられる被害は?

雪災補償が受けられる被害の例には、以下のものがあります。

  • 大雪で屋根が変形
  • 雪の重みで雨樋が破損
  • 雪が積もりカーポートの天井が押しつぶされた
  • 雪崩が発生し家屋が巻き込まれた
  • 大雪でアンテナが破損

大雪で屋根が変形

大雪が降り屋根に大量の雪が積もると、その重みで屋根が破損する場合があります。屋根は空から降ってくる雪を直接受けるため、圧力を受けやすい部分です。屋根の受ける雪害は、雪の重みによる屋根の変形を発生させ家屋にダメージを与えます。

さらに、屋根材や留め具なども、雪の影響を受け破損する可能性があります。そのような被害は、火災保険の補償対象です。

また、上の階から下の階へ落雪したために発生した家屋の破損も、火災保険で補償されます。しかし、隣家からの落雪は、補償の対象外であるため注意が必要です。

雪の重みで雨樋が破損

雪の重みで雨樋が破損した場合は火災保険申請ができる

雨樋は雪の重みにより、被害を受けやすい部分です。雨樋が破損すると雨水や雪解け水の流れが悪くなり、雨漏りや家屋の腐敗の原因になる可能性があります。

雪害による雨樋の破損は、火災保険で修理費用が賄えます。雨樋に不具合があると、屋根に降り注いだ水が滞留して家屋に悪い影響を与えるので、早急に修繕しなければいけません。

雪が積もりカーポートの天井が押しつぶされた

雪の重みでカーポートが破損した場合も、火災保険で補償されます。カーポートは家屋ではありませんが敷地内に付随した設備のため、雪災被害として申請し、給付金を受けとれます

ただし、雪害によるカーポートの破損は火災保険の対象ですが、その下で被害を受けた自動車は、自動車保険の対象となるため補償されません。

雪崩が発生し家屋が巻き込まれた

近くにある山で発生した雪崩が、家屋を襲い被害を受けた場合は、火災保険の雪災で補償されます

雪崩では家屋と家財の両方が、被害を受ける場合があります。雪崩による被害で家具や家電などに対する給付金を受けるには、家財を補償する保険への加入が必要です。

大雪でアンテナが破損

大雪で屋根の上にあるアンテナが破損した場合は火災保険申請ができる

大雪で屋根にあるアンテナが壊れてしまいテレビを視聴できなくなった場合は、火災保険の給付金で修理が可能です。豪雪に見舞われると、雪の重みで屋外にあるアンテナがダメージを受け曲がったり破損したりします。

そのような被害は、火災保険の雪災補償の対象です。アンテナの破損原因はさまざまで、災害原因によって受ける補償が異なります。

雪災補償雪の重みでアンテナが曲がった
風災補償強風でアンテナが倒れた
強風で物がアンテナにあたり破損した
落雷補償雷が落ちてアンテナが故障した

雪害補償が対象外の被害とは?

火災保険の雪災補償の対象外の被害とは?

雪害補償の対象にならない被害には、以下のものが挙げられます。

  • 雪解けで洪水が発生し浸水
  • スキー場で転んでケガ
  • 雪でカーポートの天井がつぶれ車が破損
  • 建物の経年劣化による破損
  • 被災から3年以上経過

雪解けで洪水が発生し浸水

雪解け水による河川の増水が原因で、融雪洪水が発生する場合があります。家屋が融雪洪水で被害を受けた際、雪害補償は適用されません。

融雪洪水による浸水被害をカバーする保険は、水災補償です。水災補償は床上浸水や地盤面から45cmを超える浸水すると、被害の補償が受けられます。

スキー場で転びケガ

雪が原因であっても、スキー場でのケガは雪災補償の対象外です。

スキー場でのケガで補償を受けられるのは、傷害保険や医療保険です。傷害保険は日常生活のケガに備える保険で、ケガにより通院や入院、死亡で保険金が受け取れます。医療保険には公的医療保険と民間医療保険があり、スキー場でケガした際は給付金を受け取れます。

雪でカーポートの天井がつぶれ車が破損

雪でカーポートの天井がつぶれて車が破損した場合は、申請の対象外

カーポートが雪の重みで天井がつぶれ、下に駐車してあった自動車が破損しても雪災補償は受けられません。

自動車の被害は、車両保険で補償されます。車両保険は事故や災害などで車に損害を受けた場合、修理のための費用を補償する保険です。大雪で自動車が破損した際の修理の費用は、車両保険に請求してください。

建物の経年劣化による破損

火災保険は、火災や自然災害、偶然かつ突発的に発生した事故による被害を補償する保険です。経年劣化による破損のような予測可能な被害は、給付の対象にしていません。雪害補償を受けるには、被害の原因が雪によるもので、経年劣化による破損でないことを証明しなければいけません

建物の専門知識がない個人が火災保険の申請をする場合、証明することが難しいため、火災保険申請サポートなどのプロの力を借りるとスムーズに手続きが行えます。

被災から3年以上経過

火災保険には請求期限があり、期限を過ぎると給付金の申請ができなくなります。

火災保険の請求期限は、保険法第95条第1項で以下のように規定されています。

第九十五条 保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。

出典:e-GOV法令検索 保険法

火災保険の請求期限は、被災から3年です。3年以内に豪雪に見舞われた地域にある家屋は、請求権の時効を迎える前に破損箇所がないか点検しておくとよいでしょう。

雪害の火災保険申請手順

雪害の火災保険申請手順

雪による被害が発生した場合は、以下の手順で火災保険の請求手続きをしてください。

  1. 住宅の被害状況の確認
  2. 火災保険会社に連絡
  3. 必要書類を提出
  4. 損害保険会社の実地調査
  5. 給付金の入金
  6. 修理会社に依頼

1.建物の被害状況の確認

雪害による損保会社への給付金請求は、被害状況の確認から行います。
修理会社に被害箇所の特定と損害程度の確認、修繕にかかる費用の見積書作成を依頼しましょう。このとき、雪害による被害箇所の写真撮影もお願いしてください。

2.損害保険会社に連絡

火災保険加入をしている損害保険会社に連絡する

損保会社の事故受付担当窓口に連絡し、担当者に雪害による給付金請求したい旨を伝えます。

そのとき、損保会社の担当者から、以下の内容を聞かれるので、答えられるように準備しておきましょう。

  • 保険証書に記載された証券番号
  • 被災した日時
  • 雪害の状況

このとき、損保会社の担当者から、申請に必要な書類について案内を受けます。書類作成時に不備が発生しないように、重要な部分はメモをとることをおすすめします。

3.必要書類を提出

雪害による火災保険の給付金申請には、以下の書類を作成して提出する必要があります。

保険証書火災保険の保険証券
給付金請求書保険会社が指定する書式
事故状況説明書雪害の状況を詳細を記述
修繕見積書修理会社に見積もりを依頼
損害証明書修理会社などに依頼し作成する事故状況説明書
罹災証明書大規模な雪災の場合に消防署及び市町村が発行する証明書
被害箇所の写真見積もりを出す際に修理業者に撮影を依頼
建物の登記謄本雪害にあった建物の所有者と火災保険契約者が同一であるかの確認に使用

申請書類の不備がなく損保会社に受理されると、審査が開始されます。

4.損害保険会社の実地調査

雪害による給付金申請が、100万円を超えるような高額な場合や申請内容に疑義がある場合は、損保会社は損害保険登録鑑定人を派遣して実地調査を行います。

鑑定人は実際に現地を訪問し、被害箇所の確認やヒアリングを行い、事故が発生した経緯を調査します。ヒアリング調査では火災保険の契約者が対応しなくても、修理会社や火災保険申請をサポートする業者が代わりに受けることも可能です

損保会社は鑑定人による実地調査をもとに、給付金の支払いの是非を判断します。

5.給付金の入金

火災保険の給付金が入金される

損保会社の審査を通過すると、給付金が入金されます。申請から給付まで、1カ月ほどかかるのが一般的です。

火災保険の保険料は、一度給付金を受けとったからといって自動車保険のように価格が上がることはありません。火災保険が補償する被害は、本人の不注意などによるものではないためです。被害に遭えば何度でも請求できます。

また、火災保険の給付金は、使用を制限されません。雪害による屋根の損傷でおりた給付金でも、外壁塗装や旅行費用など他のことに使用してもとがめられません。

ただし、給付金がおりた箇所を修理せず、他のことに使用した場合、次に同じ箇所で火災保険申請しても給付金がおりないので使い道は慎重に検討してください。

6.修理を業者に依頼する

給付金が入金されたら、修理会社に修繕を依頼します。そのとき注意していただきたいのは、給付金がおりる前に修繕の契約を結ばないことです。給付金額は入金されるまでいくらなのかわからないため、請求額よりも低い金額だった場合、修繕計画の見直しを迫られます。

損保会社から支払われる給付金は、請求額よりも低くなることが多いです。より高い給付金を得るために、火災保険申請サポート業者などのプロの力を借りるのも1つの手段です。

火災保険申請サポート業者を利用する

火災保険申請サポート業者を利用する

雪害による破損の給付金申請は手続きが煩雑で、火災保険や建物の知識がない個人では難しい作業です。そこで利用してほしいのが、火災保険と建物の両方に精通して、給付金請求の手助けをしてくれる火災保険申請サポートです。

このサービスは、火災保険と建物の専門家であるサポート業者が、給付金申請に必要な書類作成のアドバイスや雪害で破損した箇所を漏れなく発見し、給付金額の最大化をはかってくれます。火災保険申請サポートの手数料は、給付金額に応じて払う成功報酬型になっているので、給付金がおりなければ費用はかかりません。

雪害による火災保険の請求をスムーズにすすめるために、火災保険申請サポート業者の利用をおすすめします。

火災保険の給付金で雪害を被った箇所は直せる

日本は国土の60%を積雪寒冷地が占めているため、広い地域で雪による建物への被害が起こっています。雪国以外でも雪害は発生しており、2014年には都内でも雪害が原因で家屋が半壊したケースがあります。

このように雪によって家屋や家財が被害にあった際は、火災保険の雪災補償が申請できます。雪災補償は火災保険の基本補償に組み込まれていることが多いので、ほとんどの方が申請の対象となります。

しかし、火災保険の申請は提出書類が多く、被害の原因の特定など個人で全てを行うのは難易度がかなり高いです。そのため、火災保険申請サポート業者を利用することをおすすめします。

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雪害をはじめとする自然災害による被害に心当たりがある方や、火災保険申請の対象なのかわからない方も、お気軽にご相談ください。

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