火災保険は火災以外にも、自然災害や偶然かつ突発的な事故による家屋の被害を補償してくれます。
一方、経年変化など予測可能な破損は対象外で、外壁塗装の費用も火災保険ではおりません。火災保険は予測不可能な災害や事故による被害を補償する保険なので、経年劣化を防ぐために施工される外壁塗装は該当しないのです。
しかし、火災保険の給付金の使い道に制限はなく、他の破損箇所でおりた給付金を、外壁塗装に利用することは可能です。
この記事では、火災保険の補償を受けられる家屋の損傷についてお伝えし、給付金申請の手順も詳しく解説します。
経年劣化が原因の外壁塗装に火災保険は適用されない
外壁塗装は建物の経年劣化を防ぎ、長持ちさせるために重要な役割を果たしますが、火災保険の適用は受けられません。火災保険は、自然災害や偶然かつ突発的に発生した事故による家屋や家財の被害を、補償するためのものです。そのため、外壁の保護機能を回復させるための塗装費用には適用されません。
しかし、火災保険の給付金の使用目的に制限がないため、他の破損箇所でおりた給付金を外壁塗装の費用にあてることは可能です。ただし、火災保険の給付金を外壁塗装に使用すると、本来の修繕箇所が修理できません。火災保険がおりた箇所を修理しない場合は、次の機会に申請しても給付を受けられないので注意してください。
経年劣化による外壁塗装で火災保険が適用される自然災害
火災保険の給付金は使用目的が自由です。そのため、自然災害や偶然かつ突発的な事故が原因で発生した破損に対する給付金で、外壁塗装の費用を賄えます。
火災保険の給付の対象になる被害
給付金の対象になる被害には以下のものが挙げられます。
- 火災・爆裂・爆発
- 風災・雹災・雪災
- 落雷
- 破損・汚損
火災・爆裂・爆発
火災保険は家が火事になった場合や、ガス漏れが原因で火災が起きて建物に損害が出た際に補償されます。また、火災保険に家財の補償が含まれていれば、家具や家電などの建物以外の破損も給付対象です。
風災・雹災・雪災
火災保険は、台風をはじめとする自然災害が原因の被害も補償します。例えば、台風によって屋根材が飛ばされた場合や雹で窓ガラスが割れた場合、雪の重みによってカーポートの雨樋が破損した場合など、自然災害で起きた損害も火災保険の補償範囲です。
落雷
落雷補償は、雷によるさまざまな被害をカバーする保険です。雷が直接家屋に落ちて屋根を破壊したり、雷によって発生した異常電圧で家電製品が故障したりするケースで給付金を受けられます。また、雷が家屋に直接落ちなくても、近隣に落雷して被害が発生した場合にも補償されます。
破損・汚損
火災保険では、火災や自然災害だけでなく、偶然かつ突然的に発生する事故による家屋や家財の破損・汚損も補償の対象です。例えば、鳥がぶつかって窓ガラスを割る、小さな子供が壁に油性ペンで落書きするといった被害です。
破損・汚損の補償は、家の中だけでなく、敷地内で起こった偶発的な事故もカバーします。破損・汚損の補償は、家の中だけでなく、敷地内で起こった偶発的な事故もカバーします。
火災保険の給付の対象にならない被害
補償範囲の広い火災保険ですが、補償の対象にならない被害もあります。
- 経年劣化による損傷
- 故意・重大な過失のある場合
- 窓の閉め忘れによる吹き込み
- 免責額以下の損害
- 地震・噴火・津波による被害
経年劣化による損傷
経年劣化による家屋の損傷は火災保険の対象外です。例えば、時間の経過によって劣化した建物からの雨漏りは、火災保険では補償されません。火災保険は予測不能な被害を補償する保険だからです。そのため、建物の老朽化による破損や雨漏り良いった予測可能な被害は、給付の範囲外となっています。
故意・重大な過失のある場合
火災保険は故意・重大な過失によって発生した被害は補償されません。
故意とは、給付金の請求のためにわざと家屋や家財を破損することです。この行為は詐欺にあたるため、給付金を受け取れません。最悪の場合、火災保険の契約解除もされてしまいます。
また、重大な過失とは、わずかな注意を払うことで防げた被害を指します。寝ながらの喫煙やストーブをつけたままの給油などで、火災が発生した場合が該当します。
窓の閉め忘れによる吹き込み
不注意により雨の日に窓を閉め忘れ、室内が濡れ家具や家電などが破損した場合は、補償の対象外です。
免責額以下の損害
火災保険には免責額が設定されており、被害額がそれを超えないと給付金は支払われません。
火災保険の免責額には免責方式とフランチャイズ方式の2つの種類があります。
エクセス型 | フランチャイズ型 |
---|---|
あらかじめ決められた金額を超えた分が給付金として支払われる | 損害額が20万円以上の場合、給付金が全額支払われる |
地震・噴火・津波による被害
地震・噴火・津波による被害は火災保険では補償されません。これらの被害は、火災保険ではなく地震保険の対象です。保険会社やプランによっては火災保険とセットになっている場合がありますので、保険会社に確認してみましょう。
経年劣化による外壁塗装で火災保険の給付金を申請する手順
火災保険は、以下の流れで給付金を申請します。
- 保険会社へ連絡
- 修理会社に見積りを依頼
- 火災保険の申請書類の作成
- 保険会社へ書類を送付
- 鑑定人による実地調査
- 保険金の入金
1.保険会社へ連絡
火災保険の給付金の請求では、まず、保険証券を手元に準備し、損害保険会社の事故受付窓口に連絡します。連絡する際は、被害に遭った日時や破損の状況など、詳細を事前に整理しておくとスムーズです。
事故受付窓口の担当者に、給付金の請求を希望していることを伝え、必要な書類について案内を受けます。
2.修理会社に見積りを依頼
火災保険の給付金請求では、どの部分が破損しているのかを特定するために、修理会社に被害状況の確認を依頼します。修理会社には被害箇所の確認と破損の程度から、修繕に必要な費用の見積書を作成してもらいます。
また、火災保険の請求には、被害箇所の写真が必要であるため、修理会社に写真撮影もお願いしてください。
3.火災保険の申請書類の作成
火災保険の申請には多くの書類作成が必要です。作成した書類に不備があると、損保会社は受理してくれないため、再度作成し直さなくてはいけません。書類作成に手間取っていると被害が拡大する恐れがあるため、不備のない書類作成を心がけてください。
4.保険会社へ必要書類の提出
申請書類が作成できたら、損保会社に提出してください。書類に不備がなければ、受理されて審査が開始されます。火災保険の給付金は申請から支払われるまで、1カ月程度の時間を要します。
5.鑑定人による実地調査
火災保険の請求額が高額な場合や申請の内容に疑問がある場合は、損害保険会社が実地調査を行うことがあります。実地調査は損保会社によって派遣された損害保険登録鑑定人が担当し、現場を直接訪問して状況を調査します。また、事故の詳細や被害の状況についてのヒアリングを行い、それにもとづいて給付金の支払いを判断します。
6.保険金の入金
審査が通過すると給付金が入金されます。給付金の使い道に制限はないため、外壁塗装の費用にあてることも可能です。
損保会社から支払われる給付金は、請求金額よりも低くなることもあるので、外壁塗装の施工契約は、給付金の入金前には契約しないようにしましょう。
経年劣化による外壁塗装で火災保険給付金を申請するための必要書類
火災保険の申請には、以下の書類が必要です。
提出書類 | 概要 |
---|---|
給付金請求書 | 損保会社が用意する専用のフォーマットに記入 |
修理見積書 | 修理会社に見積もりを依頼 |
損害明細書 | 家屋の被害箇所や家財について1点ずつ記入 |
罹災証明書 | 自然災害で被災した場合に管轄の消防署、または、市町村が発行する証明書 |
事故内容報告書 | 保険会社が用意する専用の用紙に災害の発生日、事故状況の詳細を記入 |
被害写真 | 建物が特定できる写真、建物の全体の写真、被害箇所が同時に写っている写真 |
住民票 | 本人確認に使用 |
印鑑証明書 | 請求金額が高額な場合、保険金請求書に実印を押印し印鑑証明書をつけて提出 |
建物登記謄本 | 建物の所有者と保険請求者の一致を確認 |
保険金請求書
火災保険の給付金請求は、損保会社が用意した専用のフォームに必要事項を記入します。
保険金請求書には、以下の情報の記入が求められます。
- 証券番号
- 契約者名
- 被保険者名
- 保険金の受取先
- 他社の保険契約に関する情報
証券番号の記入にあたっては、同一会社の他の保険にも加入している場合、全ての番号を記載します。
修理見積書
修理見積書は、修理会社に作成を依頼する書類です。
見積書には修理代金の合計額だけでなく、具体的な修理内容、使用する部品や材料の数量、それぞれの単価も詳細に記載する必要があります。加えて、修理作業にかかる期間や人件費などの情報も含めると、その内容の信ぴょう性や説得力が増します。
修理見積書には特定の書式は定められておらず、各修理業者が独自に作成するもので問題ありません。
被害箇所の写真
火災保険の請求には、被害状況を確認できる写真が必要です。損保会社は提出された写真をもとに、被害を確認し審査します。
損保会社に提出する写真には、以下の種類があります。
- 表札などと一緒に撮影された建物が特定できる写真
- 被害箇所と建物全体が一緒に写った写真
- 被害箇所の詳細が分かる写真
これらの写真は、見積りを依頼する会社に撮影してもらうとよいでしょう。
事故内容報告書
火災保険の事故内容報告書は、損保会社が指定する専用のフォームに記入します。
この報告書には以下の情報を、詳細に記載する必要があります。
- 事故が発生した日付
- 被害箇所
- 事故原因
- 被害状況
特に事故の原因と被害状況については、それらの因果関係が明確に理解できるように詳しく書くことが求められます。報告書を丁寧に作成し、事故の状況を詳細に伝えることは、保険金の請求審査において有利にはたらく可能性があります。
また、自然災害による被害の内容を説明する際は、事故発生時の気象庁のデータを参照するとよいでしょう。
損害明細書
損害明細書は、被害の詳細を記入する書類です。この書類は修理会社が見積もりの際に、作成することが一般的です。建物と家財に関する被害はそれぞれ別の明細書で記載する必要があります。
建物の被害は、損傷部分ごとに以下の内容を記載する必要があります。
- 損傷した部位
- 被害の詳細な状況
- 修理に必要な費用
- 事故発生場所の図面
事故の発生場所の図面も、修理会社に依頼して作成してもらいましょう。
家財の被害の場合、以下の情報を各アイテムごとに記入します。
- アイテムの名称
- 製造メーカー
- 型番
- 購入時の価格
- 購入日付
- 数量
損害明細書は請求金額を裏付ける重要な書類です。修理や再購入に必要な額よりも過大な金額を請求すると、審査に通らない可能性があるため、金額の記載には注意が必要です。
罹災証明書
罹災証明書は自然災害などによって家屋が被害を受けた際、その被害の内容を公式に証明する文書です。この証明書は、該当する地域の消防署や市町村が発行します。
また、住宅以外の、家財、物置、カーポートなどの他の建物や財産の被害の場合は、被災証明書が発行されます。
罹災証明書や被災証明書の発行をうけた際は、損保会社に必ず提出してください。罹災証明書や被災証明書は、保険金請求の際に有力な証拠となり、手続きをスムーズにすすめる助けとなるでしょう。
住民票
住民票は本人の確認のために、提出を求められる書類です。火災保険の給付金申請は、本人以外の申請が認められないため、住民票の提出は必須です。
住民票は役所の窓口受け取り以外にも、郵送やコンビニで受け取ることもできるので、都合の良い方法で用意しましょう。
印鑑証明書
請求額が高額な場合、保険金請求書に実印の押印を求められるケースがあります。その際に、印鑑証明書を併せて提出します。
建物登記謄本
建物登記謄本は被害に遭った建物と給付金の請求者が、同一であるかを確認するために必要な書類です。こちらは法務局で入手できます。
火災保険の申請は難易度が高いためプロの力を借りることも検討する
火災保険の給付金を申請するための被害箇所の特定は、専門知識のない個人には難易度の高い作業です。そこで、利用していただきたいのが、建物と火災保険のプロである火災保険申請サポートです。
火災保険申請サポートは、被害箇所の特定や給付金の請求が可能な破損箇所を見逃しません。そのため、給付金の最大化がはかれます。
また、申請には多くの書類の作成が必要ですが、火災保険申請サポートは提出書類に不備がないように、的確にアドバイスしてくれます。火災保険の請求は手続きが煩雑であるため、火災保険申請サポートに依頼すると、スムーズにすすめられるでしょう。
外壁塗装で火災保険申請するときは
経年劣化による外壁塗装の費用は、火災保険の対象ではありません。火災保険は自然災害などの予測できない被害を、補償する保険だからです。しかし、火災保険の給付金の使い道に制限がないため、他の損傷箇所の給付金を外壁塗装に使用できます。
とはいえ、個人では被害箇所の特定や申請書類の作成など手続きが煩雑であるため、火災保険のプロの力を借りることも検討してください。火災保険申請サポートは建物と火災保険の両方に精通しているため、申請可能な被害箇所を見逃さず、給付金を最大化してくれます。
修復ナビでは相談者の不安を少しでも軽減するために、まずは無料でお話を伺っております。メールやLINEで簡単に質問できますので、気になることがありましたらお気軽にご相談ください。