火災保険の風災が適用される申請例とは?給付金の請求方法も詳しく解説

火災保険で風災申請ができるのは、どのような被害なのでしょうか?
風災は台風などの風による被害を指し、家屋に大きなダメージを与える可能性が高い災害です。

気象庁の発表によると、日本の本土に台風が上陸する年間の平均回数は3.0回ですが、上陸はせずとも接近や通過する回数はもっと多いでしょう。台風の雨風で家の屋根や外壁が損傷してしまうと、生活の立て直しや修繕費用の工面などで途方にくれてしまいますよね。

そんな台風という身近な災害で受けた家屋の被害は、風災として火災保険の申請が行えるため、修繕費用を賄うことができるのです。

この記事では火災保険が適用される風災申請の被害例を紹介し、給付金を受けるための申請方法を詳しく解説します。

目次

風災で火災保険が申請可能な条件

風災で火災保険が申請可能な条件

風災とは、台風、竜巻、突風、暴風など風によって受けた被害を指します。風の威力によって家屋等が破損した場合のほか、風によって飛ばされてきた飛来物が家屋等に直撃して破損したケースも補償対象です。

風災として認められる条件として「最大瞬間風速20m/s以上の強風」と風速によって定められています。条件を満たす風災によって損害を受けたときに、火災保険が適用されます。

風災による被害で火災保険の給付金が受けられる条件は、以下のような自然災害によって生じた被害であることが大前提です。

台風や竜巻などの自然災害により発生した破損

台風や竜巻などの自然災害により発生した破損

火災保険の給付金を受け取るには、台風、竜巻、突風、暴風など風が原因で生じた風災による被害であることを証明する必要があります

台風は気象庁のホームページで過去の気象データで、瞬間最大風速の検索が可能です。被害に遭った日の風速が記録として残されているので、因果関係の証明に役立ちます。

また、竜巻による被害も火災保険の給付の対象です。竜巻に遭ったときは、被害の状況を写真や動画で撮影しておくとよいでしょう。

建物を倒壊させたり自動車をひっくり返したりするほどの威力を持つ竜巻は、甚大な被害をもたらします。竜巻によって空へ舞い上げられたさまざまなものが勢いよく飛んでくることもあり、丈夫なコンクリートの外壁であっても被害を受けるケースがあります。

それ以外にも「最大瞬間風速20m/s以上の強風」による被害と判断されれば、風災申請ができるので、個人での判断が難しい場合は専門家に依頼することもおすすめです。

風災で火災保険が申請不可能な条件

自然災害による被害であっても、「風災」で火災保険申請ができない条件は以下のとおりです。

  • 経年劣化による破損
  • 風災の被害から3年以上経っている
  • 施工不良による破損
  • 修繕費用が免責額を下回っている
  • 故意に破損した
  • 予測・予防可能な被害

経年劣化による破損

火災保険は家屋の経年劣化や老朽化が原因で発生した建物や家財への損害は、補償の対象外です。外壁や屋根などの家屋のメンテナンスをおろそかにしていると、大型の台風で建物が被害に遭った際に、風災申請できるはずが、経年劣化と判断されて給付金が支払われなくなるケースも発生しています。

風災か経年劣化の判断がつきにくい損傷には、以下のものがあります。

  • 外壁の小さいヒビや塗装の剥がれ
  • 屋根の棟板金の釘の浮き、苔やカビなどの腐食、瓦のズレ
  • 金属部分の錆(釘や留め具など)

火災保険の給付金を請求する際には、損傷の原因が経年劣化でないと証明する必要があります。

風災の被害から3年以上経っている

風災の被害から3年以上経っている

火災保険の給付金申請期限は、被害が発生してから3年以内と「保険法第95条第1項」に規定されています

(消滅時効)

第九十五条 保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。

出典:e-GOV法令検索 保険法

被害発生から3年以上経過してしまうと、給付金を請求しても火災保険の申請を受け付けてくれないため注意が必要です。ただし、保険会社によっては独自の申請期限を設定している場合があるため、保険会社の契約内容を確認しておきましょう。

施工不良による破損

施工不良は建築業者の責任であるため、火災保険の補償は受けられません。依頼した業者との工事保険を確認してみましょう。また、新築10年以内の建物は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)により瑕疵担保責任が建築業者に義務付けられています

修繕費用が免責額を下回っている

火災保険は契約時に免責額を設定しますが、修繕費用がその免責額を下回ると給付金が支給されません。

火災保険の免責タイプは、フランチャイズ方式とエクセス方式の2種類あります。フランチャイズ方式は免責額が一定の金額を超えたときに全額給付金が支払われるタイプです。一方、エクセス方式は自己負担額を定めて、損害額から免責額を差し引いた金額を保険金として支払われるタイプです。

フランチャイズ方式で免責額20万円、エクセス方式で免責額5万円の設定とした場合で比較してみます。

免責タイプ損害額3万円損害額15万円損害額30万円
フランチャイズ方式給付金:0円
自己負担:3万円
給付金:0円
自己負担:15万円
給付金:30万円
自己負担:0円
エクセス方式給付金:0円
自己負担:3万円
給付金:10万円
自己負担:5万円
給付金:25万円
自己負担:5万円

フランチャイズ方式では損害額が20万円を超えないと全額自己負担ですが、20万円以上の場合は全額給付金が支払われます。エクセス方式で免責金額が5万円の場合、損害額が免責金額を超えると必ず5万円の自己負担がかかります。

故意に破損した

火災保険の給付金目的で風災を装い、故意に破損した場合は給付金の対象外です。

火災保険の制度の悪用を企て業者から給付金詐欺を持ちかけられるケースが発生しているため注意してください。事例には、火災保険の保険金を目当てにわざと家屋を破損させ給付金申請をする行為などがあります。

詐欺に加担してしまうと処罰される可能性があります。詐欺行為を持ちかける悪徳業者は、相手にしてはいけません。

予測・予防が可能な被害

火災保険は原則として、「予測かつ突発的な事故、偶然起こった事故」が補償対象であるため、風災が原因であっても予測や予防ができた被害は、申請しても給付金はもらえません。

例えば、開けっぱなしの窓から雨風が吹き込んできて生じた被害は、契約者側の責任による被害かつ予防できた被害であるため、火災保険の補償対象外となります。

火災保険が申請できた風災による被害例

火災保険が申請できた風災による被害例

「風災」で火災保険申請可能・不可能な条件を踏まえて、実際に火災保険の風災が適応され給付金がもらえた被害例をご紹介します。以下の被害例以外でも申請可能な被害もありますので、保険会社や専門家に確認してみましょう。

  • 暴風の風圧によって窓ガラスが割れた
  • 台風によって飛ばされた飛来物によって屋根の瓦が破損した
  • 屋根の破損の影響で雨漏りが発生した
  • 強風によって庭のフェンスが破損した

暴風の風圧によって窓ガラスが割れた

窓ガラスは建物の建具にあたるため、破損によるガラスの取り替えのような原状回復費用は風災補償の対象です。

暴風の風圧によって窓ガラスが割れた
事例

築20年の一戸建てに住んでいるAさんの家は1階のみ雨戸があって、2階には雨戸のない構造でした。台風が直撃した日は休日で、悪天候を理由に家で一日ゆっくり過ごしていました。勢力の強い台風で、ニュースの報道では瞬間最大風速50m/s以上を記録しているとのことでした。お昼頃に2階の部屋から「ガシャン」という大きい音が聞こえ、すぐに見に行くと10cmほどの穴があいて、周囲にはヒビが広がっている状況でした。

台風による風圧で窓ガラスが割れる基準としては、風速が大きく関係しています。

風速影響
【平均風速10m/s以上15m/s未満】(やや強い風)風が吹いている方向へ歩きにくくなり、傘を差しても飛ばされそうになります。屋外では電線が揺れ、取り付けてある看板やテレビアンテナなどが落下してくる危険性もあります。
【平均風速15m/s以上20m/s未満】(強い風)風に向かって歩けなくなり、転倒する人も出てきます。 路上に植えてある木の枝もこの風速から折れはじめます。看板やトタン板が外れるのもこの風速からです。
【平均風速20m/s以上】(非常に強い風)この風速から徐々に転倒していく危険性が高まり、強度の低い窓ガラスは割れてしまいます。屋根瓦・葺材が飛散することもあります。
【平均風速30m/s以上】(猛烈な風)多くの樹木が倒れ、電柱や街灯が傾くこともあります。ブロック塀やフェンスの倒壊の危険性があります。
【平均風速35m/s以上】(猛烈な風)多くの樹木が倒れ、電柱や街灯が傾くこともあります。ブロック塀やフェンスの倒壊の危険性があります。
【平均風速40m/s以上】(猛烈な風)家屋が倒壊する可能性があります。鉄骨構造の家屋でも被害が発生しています。

台風によって飛ばされたきた飛来物によって屋根の瓦が破損した

台風が直撃した日に飛んできた飛来物による被害は「風災による飛来物」の風災リスクに分類されます。

台風によって飛ばされたきた飛来物によって屋根の瓦が破損した
事例

築30年の一戸建てに住んでいるBさんの家は、瓦屋根をリフォームしたばかりでした。勢力の強い台風が明け方に直撃する予報が出ていたため、全ての雨戸を閉め切って床につきました。午前3時頃、「ドン」という何かが屋根にぶつかる音が聞こえてびっくりして目が覚めました。翌朝、屋根を確認してみると瓦がずれており早急な対応が必要でした。

上記の被害は風が原因のため火災保険の風災の申請対象です。

屋根が破損した影響で雨漏りが発生した

屋根が破損した影響で雨漏りが発生した
事例

築20年の一戸建てに住むCさんのケースでは、台風によって屋根の瓦が破損し、その影響で雨漏りが発生してしまいました。台風が原因なことが明らかなので、火災保険の給付金対象と認定されました。

また、普段はなんともない家屋が台風のときにだけ雨漏りする場合があります。これは、強風によって屋根に圧力がかかった状態になり、さまざまな角度から吹く強い風によっていつもとは異なる方向から雨が強く当たるなどの原因が考えられます。 屋根や外壁も防水構造が前提であるため、台風や強風の日などの雨漏りは火災保険の風災が適用されます。

強風によって庭のフェンスが破損した

強風によって庭のフェンスが破損した
事例

2018年に発生した台風21号がDさんの住む地域に接近し、風の威力で庭のフェンスの結合部分が外れ破損していました。敷地内にあるフェンスも火災保険の対象で、このケースでは台風の影響による被害と認定されました。

フェンスは低いものから2mを超える高いものまであり、風を受けやすい構造をしています。耐久性が強い素材だったとしても、土台部分のブロック塀との連結が弱いと、下から吹き上げる風で飛ばされてしまうケースもあります。

風災による損傷を火災保険へ申請する手順

風災による損傷を火災保険へ申請する手順

火災保険の風災申請は、以下の手順で行います。

  1. 加入している保険会社へ連絡する
  2. 破損した箇所を修理できる業者を探す
  3. 複数の業者の見積もりをとる
  4. 火災保険の申請書の作成及び送付
  5. 保険会社による鑑定人の現地調査
  6. 30日以内に指定口座に給付金の入金

1.加入している保険会社へ連絡する

風災による被害が確認できた際に、加入している保険会社へ即座に連絡します。本人確認などが行われるため、火災保険の保険証券を用意しておくとスムーズに対応できます

2.破損した箇所を修理できる業者を探す

風災によって破損した箇所は、屋根、外壁、フェンス、窓ガラスなどさまざまなケースがあります。破損箇所を修理できる業者へ見積もりの依頼をし、おおよその修繕金額を知る必要があります。

3.複数の業者の相見積もりをとる

見積もりを依頼する業者は、1つだけでなく複数に依頼してください。多少、手間はかかってしまいますが、信頼できる業者を見極めるためにもいくつかの見積もりをとるとよいでしょう。悪徳業者に依頼してしまうケースを避けるためにも、このプロセスは欠かせません。

4.火災保険の申請書の作成および送付

火災保険の申請書の作成および送付

保険会社から郵送で申請書が届いたら、ミスなく記入する必要があります。専門的な知識を要する部分もありますが、記入漏れなどがあると再提出を求められてしまいます。

火災保険の給付金申請に必要な書類には、以下のものがあります。保険会社や被害状況によっては不要な書類、追加で必要な書類がある場合もあるため、詳しくは契約している保険会社に確認してみましょう。

提出書類概要
給付金請求書損保会社が用意する専用のフォーマットに記入
修理見積書修理会社に見積もりを依頼
損害明細書家屋の被害箇所や家財について1点ずつ記入
罹災証明書自然災害で被災した場合に管轄の消防署、または、市町村が発行する証明書
事故内容報告書保険会社が用意する専用の用紙に災害の発生日、事故状況の詳細を記入
被害写真建物が特定できる写真、建物の全体の写真、被害箇所が同時に写っている写真
住民票本人確認に使用
印鑑証明書請求金額が高額な場合、保険金請求書に実印を押印し印鑑証明書をつけて提出
建物登記謄本建物の所有者と保険請求者の一致を確認

5.保険会社による鑑定人の現地調査

申請書類の審査が始まると、保険会社の鑑定人が損害箇所の調査に訪れる場合があります。実際に目視で風災による被害かどうか、経年劣化や違う要因による損傷ではないかなどを調査し、被害状況のヒアリングが行われます。

6.30日以内に指定口座に給付金の入金

申請が無事に通ると、火災保険の給付金が申請から30日を目安に指定口座へ入金されます。給付金の額は保険会社の判断によって、申請した額面より低くなるケースがあります。

風災被害に遭ったら火災保険申請しよう

風災被害に遭ったら火災保険申請しよう

台風などの風災による被害に遭った際、1日でも早く破損箇所を修理する必要があります。火災保険申請サポートは給付金の請求をスムーズに行うために、書類作成の助言や申請の手助けをしてくれます。

また、建物の専門家が調査するので、見逃しがちな破損箇所も発見し給付金の請求につなげてくれるのです。火災保険申請サポートをフル活用して、風災被害から一刻も早く立ち直ることが人にとっても家にとっても最善の選択といえます。

給付金を請求するなら、初期費用のかからない完全成果報酬型の火災保険申請サポートを選ぶとよいでしょう。
火災保険がおりなかった、申請書類がうまく作れないなどのお悩みがありましたら、火災保険申請サポートを活用をおすすめします。火災保険申請サポートを利用すれば、再審査のための追加書類や、新しく気づかなかった損傷箇所も見つけてくれるため請求金額の最大化がはかれます。

修復ナビでは相談から申請サポートまで無料でご案内しています。お客様の不安を軽減するため、まずはお気軽にご相談ください。

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