火災保険はカーポートの破損にも適用される?給付金が受けられる被害例を解説

大切な愛車を保護するカーポートの破損は火災保険の補償範囲内なのでしょうか?

カーポートは、多くの一戸建てに設置され車を雨や雪から守っています。その代わりにカーポートは雨や雪などにさらされるため、自然災害の被害に遭いやすい設備です。特に降雪の多い地域では雪の重みでカーポートが破損する事例が発生しています。

カーポートは家屋と離れているため火災保険の対象外と思われがちですが、火災保険の分類では、家屋と同様の「建物」と識別され、給付金が受けられるのです。カーポートが火災保険で修理可能な事例を紹介し、給付金申請の流れについてお伝えします。

目次

火災保険が適用されるカーポートの破損原因

火災保険が適用されるカーポートの破損原因

火災保険は火災だけでなく、風災、雷災、雪災、雹(ひょう)災、水災などの自然災害による家屋の損傷を補償してくれます。駐車スペースに設置されているカーポートは家屋から離れていますが、建物に附属する設備として火災保険の対象です。

火災保険がカーポートの被害に適用される自然災害として、以下の3つが挙げられます。

  • 風災
  • 雪災
  • 雹災

風災

台風や竜巻などの強風が原因で、風速が20m/s以上の場合に適用を受けられます。カーポートの屋根が吹き飛ばされたり、強風による飛来物で屋根が破損した被害などが給付金の対象です。

雪災

カーポートの上に積もった雪の重みや、自宅の屋根からの落雪によって破損した場合に補償されます。屋根がつぶれたり、支柱が曲がったりしたときの修繕費用が火災保険で賄えます。

雹災

雹は空から降る氷の塊で、直径5cmを超えるような大きな塊が降ることもあります。カーポートの屋根を貫通したりヒビを入れる原因です。

火災保険が適用されたカーポートの破損例

火災保険が適用されたカーポートの破損例

火災保険が適用されたカーポートの破損例は、以下の通りです。

  • 台風による強風でカーポートが破損
  • 雪の重みによりカーポートの屋根が破損
  • 自宅の屋根に積もった雪が落雪した際、カーポートの屋根を貫通
  • 雹によりカーポートの屋根パネルが破損

台風による強風でカーポートが破損

台風による強風でカーポートが破損

台風によるカーポートの破損で最も多いのが、屋根が吹き飛ばされてしまう事例です。また、強風によって飛ばされてきた飛来物が、カーポートの支柱に当たり曲がってしまうケースでも風災として火災保険が適用されます。

一般的なカーポートの耐風圧強度は38m/s程度で、平均風速に換算すると10m/sから15m/sくらいの風に耐えられる強度を想定してつくられています。大型の台風は、平均風速が25m/s以上になることも珍しくないため、カーポートに被害を与え、破損する可能性が十分にあるのです。

雪の重みによりカーポートの屋根が破損

雪が何日も続いて降った際に、雪の重みに耐え切れずカーポートの屋根が壊れてしまうケースがあります。屋根と柱だけのカーポートは、上からの荷重に弱い構造です。そのため、積雪でカーポートの屋根が落ちたり、柱が曲がったりしてしまうことがあります。

大雪などによるカーポートの被害は、雪災として火災保険の適用が受けられます

自宅の屋根に積もった雪が落雪してカーポートを直撃

自宅の屋根に積もった雪が落雪してカーポートを直撃

自宅の屋根に積もった雪が落ちた際に、下にあるカーポートの屋根に直撃して倒壊したケースは火災保険の適用が受けられます。ただし、隣家からの落雪でカーポートが破損した場合は、自身が加入している火災保険から給付が受けられないため注意が必要です。

雹によりカーポートの屋根パネルが破損

雹の落下スピードは直径5mmのものでも時速36km、50mmなら時速115kmにも及びます。平均的な雹のサイズは直径20mmくらいまでですが、ときにはピンポン玉くらいの大きさの雹も発生しています。

2022年6月に群馬県や埼玉県、千葉県などの関東地方でピンポン玉サイズの雹が降り、「車のボンネットがボコボコになった」「ボンネットがへこんだ」「車のフロントガラスが割れた」「カーポートの屋根が破損した」などの被害が発生しました。雹災によるカーポートの被害には火災保険が適用されますが、このような雹災による自動車の損傷の修理費用は自動車保険が適用となります。

カーポートの修理費用の目安

カーポートの修理費用の目安

カーポートの修理にかかる費用として、部分的な修理は最低1万円から、全体を修理すると50万円以上かかるケースもあります。

交換箇所費用
部分的にパネルを交換1〜2万円/枚(車1台分で約24枚必要)
アルミ枠の交換2〜20万円
カーポート全体を交換30〜50万円

上記の表はカーポートの修理費用の目安です。なお、基礎部分のコンクリートにも損傷があると、10万円以上の追加費用が必要です。

部分的な損傷であれば10万円以下で修理できますが、倒壊してしまっていたり、フレームが傾いていたりする場合は全交換が必要です。そのため、カーポートの修理には高額な費用がかかるケースもあります。

カーポートの破損が火災保険で適用可能な条件

カーポートの破損が火災保険で適用可能な条件

カーポートの破損被害で火災保険が適用可能な条件は、以下の通りです。

  1. 台風や暴風などの自然災害で発生した破損
  2. 経年劣化による破損ではない
  3. 被害から3年以上経っていない
  4. 施工不良による破損ではない
  5. 修繕費用が免責額を上回っている
  6. 故意に破損したものではない

台風や暴風などの自然災害により発生した破損

カーポートの修理で火災保険の給付を受けるには、自然災害による被害であることを証明する必要があります。台風や突風、竜巻などでカーポートの屋根が飛んでしまった場合や、飛来物でカーポートが破損した場合などが対象です。ただし、風災補償を受けるには、最大瞬間風速20m/s以上の強風の発生が条件です。

雹災でカーポートの屋根の破損や、へこみが生じたときでも火災保険の給付金が受けられます。さらに、雪の重みでカーポートの屋根や柱が破損したケースでも火災保険の対象です。一般的なカーポートは積雪量20〜30cm程度を想定した設計のため、それ以上の予期せぬ大雪に見舞われた際に破損被害の可能性があります。

経年劣化による破損ではない

経年劣化や老朽化が原因で発生した建物や家財への損害は、火災保険の対象外です

カーポートの経年劣化として判断されるケースは、以下の通りです。

  • 平均耐年数の15年を超えている
  • 塩化ビニールやポリカーボネートの表面に無数の傷がついている
  • カーポートの金属部分の錆(支柱や釘や留め具など)

これらの経年劣化は思わぬ事故につながる可能性があるので、日頃からカーポートの状態をチェックし、こまめにメンテナンスをしておくことが大切です。

被害から3年以上経っていない

被害から3年以上経っていない

火災保険の給付金は、被害が発生してから3年以内に請求しなければ「保険法第95条第1項」に規定されている通り権利が消滅します。

(消滅時効)

第九十五条 保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。

出典:e-GOV法令検索 保険法

被害発生から3年以上経過して、火災保険の給付金を請求する場合は、申請が受理されないため注意が必要です。

施工不良による破損ではない

施工不良は業者の責任であるため、火災保険の給付金は受けられません。カーポートを建てたばかりでも、実際に支柱のズレや留めの緩みなどの施工不良によって傾きなどが発生する場合があります。また、カーポートに施工不良があり長い年月を経て少しずつ傾いてたため、気づかないうちに支柱に必要以上の負荷がかかっていたというケースもあります。

カーポートの破損が、建築時の施工不良に由来するものであれば火災保険の適用範囲外です。

修繕費用が免責額を上回っている

修繕費用が免責額を上回っている

火災保険の給付金は、損害額が免責額を上回っていないと支払われません。火災保険の免責金額の設定には、フランチャイズ方式とエクセス方式の2つのタイプがあります。

フランチャイズ方式は損害額が免責額を超えないないときは、全額を自己負担です。しかし、損害額が免責額を超えると、全額給付金が支払われます。

一方、エクセス方式は火災保険加入時に一定の自己負担額を定めて、損害額からその自己負担額を差し引いた金額が給付金として支払われる免責タイプです。

フランチャイズ方式で免責額20万円、エクセス方式で免責額5万円と設定した場合でシミュレーションします。

損害額フランチャイズ方式エクセス方式
損害額3万円給付金:0円
自己負担:3万円
給付金:0円
自己負担:3万円
損害額15万円給付金:0円
自己負担:15万円
給付金:10万円
自己負担:5万円
損害額30万円給付金:30万円
自己負担:0円
給付金:25万円
自己負担:5万円

フランチャイズ方式は、損害額が20万円を超えるまで全額自己負担です。損害額が20万円以上だと全額給付金が支払われます。エクセス方式で免責金額が5万円の場合は、損害額がいくらであっても5万円の自己負担がかかります。

故意に破損したものではない

カーポートが故意に破損したと判断されるケースは、火災保険の対象外です。

火災保険の給付金を目的にカーポートを故意に損傷させ、風災や雪災を装い申請した場合は詐欺罪に該当します。申請が通らず給付金がおりなくても、虚偽の申請が発覚したときは刑事事件の詐欺未遂罪として詐欺罪と同等の罰則が科せられる可能性があります。

火災保険の制度を悪用して詐欺を持ちかける業者もいるため、注意してください。

カーポートの損傷を火災保険へ申請する手順

カーポートの損傷を火災保険へ申請する手順

カーポートの修理費用を火災保険へ申請する手順は、以下の通りです。

  • 加入している保険会社へ連絡する
  • 破損した箇所を修理できる業者を探す
  • 複数の会社の見積もりをとる
  • 火災保険の申請書の作成および送付
  • 申請から30日以内に指定口座に給付金の入金

1.加入している保険会社へ連絡する

自然災害等でカーポートが破損したら、速やかに加入している保険会社の事故受付窓口に連絡します。事故受付窓口の担当者に事故原因や損傷の程度を伝える必要があるため、連絡する前に簡単に被害状況をまとめておくとよいでしょう。

2.破損した箇所を修理できる会社を探す

破損した箇所がカーポートの屋根部分なのか支柱なのかによって、依頼する修理会社が異なるケースがあります。火災保険の申請には、修理費用の見積もりが必要なため修理会社へ依頼してください。このとき、被害箇所の写真撮影もお願いするとよいでしょう。

3.複数の修理会社の相見積もりをとる

見積もりを依頼する修理会社は、1つだけでなく複数の会社に依頼することをおすすめします。手間はかかりまいますが、信頼できる修理会社を見極めるためにも複数の見積もりをとることは重要です。

4.火災保険の申請書の作成および送付

火災保険の申請書の作成および送付

保険会社から郵送で申請書が届いたら、ミスなく記入する必要があります。

火災保険の申請には以下の書類が必要です。

提出書類概要
給付金請求書損保会社が用意する専用のフォーマットに記入
修理見積書修理会社に見積もりを依頼
損害明細書家屋の被害箇所や家財について1点ずつ記入
罹災証明書自然災害で被災した場合に管轄の消防署、または、市町村が発行する証明書
事故内容報告書保険会社が用意する専用の用紙に災害の発生日、事故状況の詳細を記入
被害写真建物が特定できる写真、建物の全体の写真、被害箇所が同時に写っている写真
住民票本人確認に使用
印鑑証明書請求金額が高額な場合、保険金請求書に実印を押印し印鑑証明書をつけて提出
建物登記謄本建物の所有者と保険請求者の一致を確認

書類の作成には専門的な知識を要する部分もあります。書類に不備や記入漏れがあると再度提出しなければいけません

火災保険の申請書類の作成は煩雑で、建物の知識がない人には難易度が高い作業です。そのため、火災保険のプロから書類作成のアドバイスが受けられる、火災保険申請サポートを利用するとよいでしょう。

5.申請から30日以内に指定口座に給付金の入金

火災保険の給付金は、申請から30日以内に指定口座へ入金されます。審査が通った場合でも保険会社の判断によって、申請した額面より低い給付金となってしまうケースがあります。

火災保険がいくら給付されるのかは、入金されるまではわかりません。カーポートの修繕依頼は、給付金額が判明したあとに行ってください。

カーポートを火災保険の給付金で修理は可能!

カーポートを火災保険の給付金で修理は可能!

自然災害によって損傷したカーポートの修繕費用は火災保険の対象です。カーポートは家屋から離れた場所にありますが、火災保険では「建物」の設備の一部として給付金の対象にしています。カーポートは風雨などの自然現象にさらされているため、損傷のリスクが大きい設備です。

もし、自然災害によってカーポートが被害にあったときは、火災保険の給付金請求を迅速に行ってください。カーポートの修理には多額の修理費用が発生する可能性があるため、火災保険の申請は不可欠です。火災保険の給付金請求は、煩雑で提出書類も多いため、火災保険申請サポートの力を借りるとよいでしょう。

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また、相談者様の不安を少しでも軽減するために、まずは無料でお話を伺っております。メールやLINEで簡単に質問できますので、気になることがありましたらお気軽にご相談ください。

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